
ルドルフ・キラーの娘は
生意気にもマルジェラのブーツを履いて、鼻をツンと上向けて
実に冴えない男を連れて歩いていた(男の趣味はさては最悪だと察する)。
私は彼女達よりも先回りして
さも偶然を装ってばったり出くわす。
出会い頭に、私はすかさずハイキックをお見舞いする。
そして私は涼しく微笑みながらこう言うのだ。
「ごきげんやう」
よう、ではなく、やう、が似合うようなトーンで、割にきっぱりと。
娘は手に花束を持っていたが、私のハイキックでそれらは宙を舞った。男は飛び散った花をいちいち拾い集めた。
この男、意外といい奴かもしれぬ。
と、ぼんやり思う。
2019 Japan