目の前を1匹の兎が走ってゆきます。
私は彼(立派な口髭を生やしていたので)の後を追います。
彼が後ろを振り返って言います。
「吾輩を追うのではなく、吾輩を追い越しなさい」
遠慮なく彼を追い越しましたら、落とし穴に落ちました。
私は穴の底から彼に向かって言いました。
「ありがとう。顎から落ちましたが私は無事です」
彼は穴を覗き込んで言いました。
「この穴は瞑想のための部屋ですよ」
彼はニカッと気色の悪い笑みを浮かべ、去っていきました。
私は喜んで瞑想をします。
来る日も来る日も瞑想をします。
来る日も来る日も。
来る日も来る日も。
2021. Feb