神様の名はシャルロット。

ピサルオートの通りを右に曲がった2つ目の、黄色い屋根の家に住んでいる。

乳母が出入りしているのはよく見かけるが、それ以外に誰かが訪ねているところを見たことがない。

挨拶をしても "つっけんどん" だし、きっとママ友だっていないんでしょう。

だけど、週末の朝、決まってバタークッキーの焼ける甘い匂いが彼女の家のキッチンの窓から漂っていて

その匂いを嗅ぐと、どうも悪い神様の気がしないのです。

2019 Berkeley

上野発の夜行列車 通り過ぎて

私が乗るのは 「えりか」という名の寝台特急

耳鳴りのする香り 口のきけない駅員たち

果ての連絡線は この風で欠航だと聞きました

さよならあなた 私は帰ります

津軽海峡は行ったことがありません

2019 Japan

昨日のことは忘れよう。

明日のことは明日決めよう。

今日しかない今日を生きて

今だけのあなたと永遠に誓おう。

2018 Japan

朝起きたら、痣が消えていた。私の右二の腕の上のほうにあった大きな痣。小さい頃、母にめん棒で殴られてできた大きな痣。

もうひとつは、左脇腹にあった、黒ずんだ紫色した中くらいの痣。高校生の頃、酔っぱらった父にビール瓶で殴られてできた中くらいの痣。

20歳の頃に、付き合っていた彼から灰皿を投げつけられてできた痣もありました。それは少し小さいサイズで比較的お気に入りでした。

夢の中で、私は私に魔法をかけました。全ての、全ての嫌な記憶が消えてしまう魔法を。

全ての、全てのです。

思い出すと胃の下のあたりがきゅうっとなって、おしっこが漏れそうになる、嫌な記憶の全てを。

まずは、それらを大好きなキャラメルラッテに溶かしました。たっぷりのお砂糖と一緒に。少しだけ、シナモンパウダーも振りました。そして私はそれを飲みました。私の嫌な記憶が溶けきった甘いシナモン風味のキャラメルラッテを、 美味しい美味しいと自分で飲み干しました。それはヒーリングとしての儀式。とてもスウィーティーな。

そんな魔法でした。

そんな夢でした。

夢から覚めると痣は消えていたのです。

残念ながら嫌なことはまだ記憶の中にありました。でも胃の下のあたりは、きゅうっとはなりませんでした。魔法は成功したかのように思えた。おしっこは漏れそうだったけど、これは朝の生理現象です。

グッモーニン

新しい私。

それは成功したかのように思えた。

2019